法律コラム Vol.38

県弁副会長就任時の挨拶

 私は5年前に福岡県弁護士会副会長に就きました。福岡県弁護士会は福岡・北九州・筑後筑豊という部会制をとっており筑後部会選出の副会長が必要となります。筑後は田舎なので修習期の順番に役員に就く”しきたり”になっていました。以下は弁護士会「月報」に寄稿したものです。

 このたび副会長(筑後地区選出)に就任しました樋口です。私は46期であり弁護士年齢も満11年に過ぎません。福岡という、その活動が全国的に注目されている弁護士会の副会長職は私にとって相当荷が重く、かかる重責に堪えうるのか不安もあります。しかし選任されました以上は川副会長をはじめ他の執行部の先生方のお荷物にならないよう与えられた職務を精一杯こなしていきたいと思っています。就任にあたり感じていることを書いてみます。弁護士会の会員数の増大に伴い、弁護士どおしの横の繋がりが希薄化し、弁護士会への帰属意識も薄れていく傾向にあります。職業意識としても、昔ながらの職人気質が薄れ、サービス業たる側面も強調されることが多くなりました。かかる傾向は司法改革の進展とともに更に速度を増しつつあるようです。私は40歳を過ぎて少しばかり歴史書を紐解くようになり歴史の主人公が目の前の状況といかに戦ったのか等身大で感じられるようになりました。ただ私はかかる認識を実践的課題に対し評論家的態度に終始する免罪符に使う傾向にあったと自覚しています。しかし執行部の一員になる以上、評論家的態度は許されません。目の前の実践的課題に対し執行部として責任ある態度表明を迫られる場面も増えるものと覚悟しています。かかる場面では、複数の価値衝突から1つの選択をする場合には必ず反対の価値から批判を受けること、それでも何らかの選択は必要であること、選択した方針を実行する場合でもかかる批判を意識して行うべきことを肝に命じて職務を遂行したいと思っています。

* 自分の「評論家」的態度は(執行部在籍中は)封印していたつもりですが、司法改革による「弁護士会への帰属意識の希薄化」「弁護士の職人気質の希薄化」への危機感は募るばかりです。私は4月から平成22年度筑後部会長に就任することになりました。スタッフに恵まれ、安定した気持で仕事をスタートする準備が整いつつあるのを感じています。1人事務所で弁護士会役員の仕事をこなしていくのは辛いものがありますが何とか1年間を乗り切っていきたいと思っています。

前の記事

営業価値の評価基準

次の記事

高齢者財産の名義変更