法律コラム Vol.153

土地使用貸借契約と固定資産税

親名義の宅地に子が建物を建てるケースは世上良く見受けられます。地代の授受が無いことが多く契約類型としては「使用貸借」になります。この場合に、子が土地の固定資産税を支払ったとして、これが相続債務になるか否か問題になり得ます。以下は某遺産分割調停で提出した書面です。

申立人の建物は*年*月*日被相続人の土地上に新築された。申立人は建物所有者として土地を使用している。建物が存立するためには土地の利用権限が必要である。申立人は地代を払っていないので本件土地使用は使用貸借契約にもとづくということになる。民法595条によると通常の必要費は使用借人が負担するところ、土地の固定資産税は土地使用貸借契約における「通常の必要費」に該当する(最判昭和36年1月27日・東京地判平成9年1月30日参照)。この観点で考えれば固定資産税支払義務は申立人に帰属するのであるから申立人は「自己の債務」を支払ったに過ぎない。したがって本件財産目録における「死後の固定資産税支払」は相続債務に該当しない。共有物を現実に使用している申立人が「無償使用における必要費」として固定資産税を負担すべきなのである。

* 上記書面に従い裁判所から「申立人が支払った固定資産税は被相続人に対する債権(相続財産から言えば債務)にならない」という規範が示され当事者に共有されて調停が成立しました。
* なお、上記議論は契約当事者間を規律する「民法上の規範」です。固定資産税を賦課する行政庁(市町村)が土地の所有名義人である親に課税する(親が行政的な支払義務を負う)ことは「対行政庁の問題」(行政法上の問題)であって、上述した民法上の問題とは意味が異なります。

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