5者のコラム 「芸者」Vol.47

供給過剰による値崩れ

酒井あゆみ「売春論・LOVE FOR SELL」(河出書房新社)に次の記述。

売春をしようと思う人、風俗店で働こうと思う人の多くは金銭が目的。「お金が欲しい」「稼ぎたい」「儲けたい」と思って行動に移します。 ところが取材で会う女性から聞かされるのは「こんなに稼げないとは思っていなかった」という言葉。どれくらい稼げると思っていたのかを聞いてみると「1日最低でも10万ぐらいは稼げると思っていた」と言うのです。個人差はありますが今のヘルス店の平均日収は約2万円。私が働いていた十数年前は約5万円でした。このように風俗嬢たちの稼ぎが落ちてしまったのは客の数が減ったからではありません。需要が増えず供給がどんどん過剰になれば値崩れを起こします。それを避けるには付加価値を付けて価値を維持するしかありません。実際一部で価格破壊が起き、質の悪いお客例えば金額以上のサービスを要求するような身勝手でウルサイお客が増え、女の子は禁止行為にも耐えなければならず、儲からない上に精神的にも肉体的にも限界になる。

厚生労働省賃金構造基本統計調査(08年)によれば弁護士の平均所得は約800万円ということだそうです。この数字をどう読むかは難しいものですが、若手弁護士の実感は「こんなに多くの所得を稼いでいるわけではない」というものではないでしょうか?。若手弁護士からは「こんなに稼げないとは思っていなかった」という声が聞かれます。需要が増えないまま供給過剰になれば値崩れを起こしますが、弁護士業界の場合、これに加えて過払金バブルの崩壊により仕事の絶対数が減っているという状況があります。他方で質の悪い依頼者(身勝手でウルサイ依頼者)が増えたために、精神的にも肉体的にも疲れ果てている若手弁護士が増加しつつあるようです。

学者

次の記事

戦略よりも兵站