仕事場を閉鎖するときの難儀
「ドクターサポートネット」に以下の記述がありました。
高齢や健康上の問題でクリニックを閉鎖しようと思っても容易ではありません。クリニック開業の時は様々な業者が無料で手伝って下さいますが、閉鎖となると業者にとって商品を買ってくれるお客様ではなくなるため協力してくれる業者も少なくなってしまいます。レントゲンなどがあれば、レントゲンを廃棄した後、廃棄証明を添付し保健所に診療所の廃止届を提出しなければなりません。廃棄証明などが無ければ廃止届は受理してもらえません。閉院後もカルテは5年間(医師法24条)、レントゲンフィルムまたはデータは撮影した疾患に関する診療行為が終了して3年間(保険医療機関および保険医療機関療養担当者規則)保管義務があります。その他、エックス線装置等の測定結果記録、放射線障害が発生する畏れのある場所の測定結果記録は5年間の保管義務があります(医療法施行規則第30条の21、22)。クリニックは閉院すれば終わりというものではなく、閉院してからも院長(施設管理医師)には様々な義務があり、しっかり準備して閉院する必要があります。
老弁護士が「事務所を閉鎖しよう」と思っても容易ではありません。開業なら多くの方が手伝って下さいますが廃業は基本的に1人で行う作業です。事件が係属していると勝手に廃業は出来ませんので原則的に全ての仕事を終了させる必要があります。それが出来ない場合には依頼者の了解を得て引き継いでくれる若手弁護士を探します。事案内容を説明するとともに預り金管理や報酬が発生する場合の配分方法を協議する必要があります。証拠書類は紛失が問題とならないように確実に管理(返還または引き継ぎ)しなければなりません。終了した事件ファイルだって簡単には廃棄できません。当該事件に関する紛争が生じたときファイルがないと対応困難だからです。保管義務の期間は5年説が有力ですが、その間の保管スペースが必要となるので難しい問題ですね。