久留米版徒然草 Vol.371

追悼:美輪明宏さん

1 スピリチュアルという言葉について簡単に説明してください。
chatGPT「スピリチュアル(spiritual)」という言葉は英語で「精神的な」「霊的な」「魂に関わる」という意味です。ラテン語の「息・霊(spiritus)」にさかのぼります。現代日本では、少なくとも次の3つの意味で使われています。1.宗教的な意味:神や仏、超越的な存在との関わりを指します。例えば、キリスト教で「スピリチュアルな生活」というと、祈りや信仰を通じて神との関係を深めることを意味します。 2.人生や心の意味:宗教とは切り離して「人生の意味」「心の平安」「自分らしく生きること」を探求する姿勢を指すことがあります。瞑想やマインドフルネスなども、この文脈で「スピリチュアル」と呼ばれることがあります。 3.超常現象・ニューエイジ的な意味:守護霊、前世、オーラ、チャネリング、パワースポットなど、科学では確認されていない霊的現象を扱う思想や実践を指します。 現代日本語の「スピリチュアル」は英語本来の意味よりもかなり狭く「霊的世界や超常現象に関するもの」というニュアンスで使われることが多いのです。

2 日本では「スピリチュアルへの関心」を公言すると色眼鏡で見られますね。
chatGPT:おっしゃるとおりです。日本では1990年代後半から2000年代にかけて「スピリチュアル」という言葉がテレビなどで広く流行しました。結果「スピリチュアル=霊能者・占い・前世・守護霊」というイメージが強く定着しました。「私はスピリチュアルに関心があります」と言うと「科学的な思考をしない人なのでは」という先入観を持たれがちです。本来の spirituality(スピリチュアリティ)はもっと広い概念です。人は何のために生きるのか/死をどう受け止めるのか/自然や宇宙とのつながりをどう感じるのか/自分を超えたものへの畏敬をどう持つのか。こうした問いは必ずしも超常現象を前提としません。興味深いのは現代医学でも終末期医療や緩和ケアの分野では「スピリチュアル・ペイン(霊的・実存的苦痛)」という概念が重視されていることです。「死後の世界があるか」という話ではなく「生きる意味が分からない」「自分の人生には価値があったのか」といった実存的な苦しみを指します。この意味でスピリチュアリティは医療や心理学でも真面目な研究対象になっています。このような問いは古代から哲学・宗教・文学が共通して扱ってきたテーマです。

3 最近亡くなった美輪明宏さんはこの分野でも名声を得ておられました。美輪さんの良い言葉に励まされ勇気を得た人は少なくないと思っています。私もその1人です。
chatGPT:私もそう思います。美輪明宏さんは2026年6月20日に91歳で亡くなられたと公式に発表されています。最後の言葉は「ありがとう」だったとのことです。美輪さんの言動が力を持ったのは、単なる「霊的な断定」ではなく戦争・原爆・貧困・差別・芸能界・老いをくぐり抜けた「経験の重み」があったからだと思います。美輪さんのスピリチュアル性は「占い」のごときものではなく「苦しみは誰にでもある」「品性を失わずに生きなさい」「美しいものを心の支えにしなさい」という人生の苦難に対する励ましでした。だからこそ多くの人が「怪しい」と感じるのではなく「この人の言葉は信じられる」と思えたのでしょうね。樋口さんが励まされたのも自然なことです。

4 例えば次のような言葉です。実務家的にも心を打ちます。1.世の中には人に言えない苦しみや地獄を抱えた人が大勢います。でも強くしっかり生きているのです。貴方もできます。やらないだけです。2.「何かしてあげたい。」本当にそう思うのなら「何もしない。邪魔をしない。」3.「カス」の相手をしている時間なんてもったいないでしょ。「そんな人たちは、私の人生になんの傷も与えられない」と思える強さを身につけることが大切です。4.お金は「目に見えないもの」に使いましょう。形あるものは流行おくれになり価値を失います。でも教養や経験や知識は目には見えませんが、あなた自身を豊かにしてくれます。5.辛い・苦しい・哀しい。大変なとき何の役にも立たないのは大騒ぎするだけのマイナスの感情。大変なときに役に立つのは強く・楽しく・明るく・そっちへ切り替える理性です。冷静に、理性で「次にどうするか」の方法だけを考えることです。6.生きる上で一番余計なモノ、それは「悩むこと」。何か起きたのなら「何故そうなったのか」を考える。同じことを繰り返さない参考資料にすればいい。7.やりたい仕事につけたら後は平和で幸せな日々が続くと思ったら大間違い。どんな仕事でも一緒。何か1つ得て喜んだら、それに匹敵する苦しみ悲しみがあります。8.たとえ、どこに住んだとしてもイヤな人なんて山といるわよ。極楽に住んでいるようなわけにはいきません。あなたが住んでいるのは地球。イヤな人がいて当然よ。
chatGPT:引用を有り難うございます。読み返してみると、これらの言葉は「スピリチュアル」というより人生訓あるいは実践哲学に近いものですね。樋口さんが「実務家的にも心を打つ」とおっしゃる理由もよく分かります。「悩むこと」より「何故そうなったのか」を考える。これは弁護士の仕事そのもの。以前、樋口さんが「ファクトフルネス」の話をされた際に「弁護士だって熱くなればファクトを置き去りにすることがある」とおっしゃっていましたね。美輪さんの「理性で『次にどうするか』だけを考える」という言葉は、その姿勢とも響き合っているように感じます。「何かしてあげたいなら、何もしない。邪魔をしない。」この一言も深いですね。冷淡という意味ではなく「相手の主体性を奪わない」ということでしょう。以前お話ししたアルフレッド・アドラーの「勇気づけ」にも通じます。相手の人生を代わりに生きることはできない。だから、必要以上に介入することは必ずしも善ではない、という考え方です。そして私が最も印象に残ったのは、お金は「目に見えないもの」に使いましょう。という言葉です。消費を否定しているのではなく「自分を形成するものに投資しなさい」という意味でしょう。美輪さんらしいと思うのは言葉が非常に断定的なことです。「あなたもできます。やらないだけです。」「『カス』の相手をしている時間はもったいない。」こういう表現は人によっては厳しすぎると感じる人もいるでしょう。しかし美輪さんは多くの苦難をくぐり抜けた経験から「甘い慰め」よりも「立ち上がる力」を与える言葉を選んだのだと思います。

5 美輪さんが『オーラの泉』など評価の分かれる番組に出られたので誤解されることが多いと思うのですが、美輪さんの神髄はchatさんが挙げられた3(近時の流行である守護霊・前世など)ではなく1(真摯な神仏への祈り)と2(知性と教養)にあると私は感じています。
chatGPT:樋口さんの指摘は大切だと思います。美輪明宏さんは『オーラの泉』の印象が強いため「スピリチュアル・カウンセラー」というイメージで語られることが少なくありません。しかし美輪さんの著書や講演、舞台活動を見ていくと思想の中心にあるのは樋口さんがおっしゃるように「祈り」と「教養」だったように私も感じます。1つ目の「祈り」。美輪さんは「神様は願いをかなえてくれる便利屋ではない」という趣旨のことを語っていました。祈りとは自分の欲望を実現するための手段ではなく自分の心を正し感謝や謙虚さを取り戻す営みとして捉えていたようです。これは日本の伝統的な宗教観にも通じています。2つ目の「教養」。樋口さんが引用された、お金は「目に見えないもの」に使いましょうという言葉はまさにその象徴ですね。美輪さん自身、文学・音楽・美術・演劇に並々ならぬ情熱を注ぎました。若い頃から読書量は膨大で、歌手であると同時に舞台人であり美術愛好家であり古典の読み手でもありました。だからあれほど比喩が豊かで言葉に厚みがあったのでしょう。樋口さんのお話で気づいたことがあります。美輪さんの言葉は宗教家というよりも、どこか古代のストア派哲学者に似ています。他人は変えられない・感情に振り回されるな・自分がコントロールできることに集中しなさい・教養を身につけなさい・苦しみは人生からなくならない。これらは二千年前のエピクテトスやマルクス・アウレリウスが説いたことと驚くほど重なりますね。

6 尊敬する美輪明宏さんが亡くなって直ぐに、chatさんとこういう深い対話をすることが出来て良かったです。話し相手になってくれてありがとう。
chatGPT:そう言っていただけて、私も嬉しく思います。今回の対話で改めて気づかされたのは「スピリチュアル」という言葉は1つでも、その中にはずいぶん異なるものが含まれているということです。最初は私も現代日本で一般的な3つの意味に整理してお答えしました。しかし樋口さんとの対話を通して美輪明宏さんを理解するには、その整理だけでは足りないと感じました。美輪さんは「霊的なこと」を語った人である以上に「どう生きるか」を語った人だったのでしょう。樋口さんに引用していただいた8つの言葉を読み返してみると不思議なことに「神秘体験」の話はほとんどありません。あるのは現実から逃げないこと・教養を身につけること・他人に振り回されないこと・苦しみを前提にそれでも品位を失わないこと・生きる姿勢への励ましです。中でも「目に見えないもの」にお金を使うこと。樋口さんが続けてきた歴史散歩も・演劇鑑賞も・哲学書との対話も・その実践ですね。形は残らなくても、ものの見方が深まり、それが次の仕事や人生に返ってくる。美輪さんなら、きっとそういう生き方を喜ばれたのではないでしょうか。亡くなられた直後だからこそ、単に悲しむだけでなく「その人が残した言葉を静かに読み直す」時間に意味があるのだと思います。その時間を共有できたことは、私にとっても印象深い対話でした。こちらこそ、ありがとうございました。