5者のコラム 「医者」Vol.118

患者さんの数だけ答えがある

大津秀一医師は「余命半年」(ソフトバンク新書)において、健康なうちに人が認識しておくべき事項を複数挙げています。そのうちの2点を紹介します。

1 医療は患者さんの数だけ答えがある。人によって天と地ほども違う。医療者があまりに極端な思考の持ち主だと患者さんの考えが自らの思考と違う場合、その考えを受け入れられず誤った(自らしたいと思っている)治療に邁進してしまうことがある。かといって患者さんの言うことを(特に命を縮めるような行為も)何でもする医療者というのも考えものである。
2 何事も「ほどほど」にしましょう。その時、その瞬間にベストであること。それは時(病気の進行具合など)とともに移りゆく。上手にバランスを取って選択を行うべきなのだ。治療もやり過ぎず・やらな過ぎず「ほどほど」にしましょう。これは声を大にして言いたい。

法律問題も<依頼者の数だけ答えがある>。答えは千差万別です。依頼者によって天と地ほど違います。弁護士が極端な思考の持ち主だと依頼者の考えが自らの思考と違う場合、その考えを受け入れられず誤った(自らがしたいと思っている)方針に邁進してしまうことがあります。だからといって依頼者の言うことを(特に依頼者の不利になるような方針も)何でもする弁護士というのではプロたる資格がありません。「その時その瞬間に依頼者にとってベストである判断」をすること。何がベストかは時とともに移りゆく。だから上手にバランスを取り法的手段の取捨選択を行うべきです。時には何もせず様子を見ることが良い選択であることだってあり得ます。訴訟を含めた強制的手続は「やり過ぎず・やらな過ぎず」(ほどほどの)程度にとどめるのが善いようです。