5者のコラム 「易者」Vol.161

うまくいくでしょうか?

小田全宏「最高の人生教科書・易経」(PHP)の記述。

人は易占に際して「この仕事はうまくいくでしょうか?」「この結婚はうまくいくでしょうか?」「この事業はうまくいくでしょうか?」「この病気は治るでしょうか?」と質問します。こういう問いを発すること自体は悪いことではありません。しかしながら「うまくいくかどうか」という問いの中には「自らがそれをどう成し遂げるか」という意志が含まれていません。実は「うまくいくかどうか」ということを問う前に、自らが「どうしたいのか」「どうありたいのか」「何を行うのか」ということにこそ意識を集中して易占に臨むべきであり、その意志こそが未来を決定していくのです。

法律相談において弁護士が困るのは「人生問題」の解決を求められること。「この仕事を辞めるべきでしょうか?」「隣の人と上手く付き合えない」「この結婚は我慢すべきか?離婚すべきか?」などという類の相談。こういう問いを発すること自体は判らないではありません。人は何をしたら良いかが判らないからこそ相談に行くのですから。しかし「どうしたら良いか」という問いの中には「自らがそれをどう成し遂げたいのか」という主体的意思が含まれていません。「うまくいくかどうか」ということを問う前に、自らが「どうしたいのか」「どうありたいのか」という自分の意思を(ある程度は)明確にしてから法律相談に臨むべきです。その主体的意思こそが未来を決定していきます。「他人に丸投げ」では人生うまくいきません。弁護士は相談者の人生そのものを背負う存在ではない。「人生をこうしたい」という相談者の主体的意思を前提に、その意思を実現する手立て(法的手段の必要性と可能性)を助言しているに過ぎない。ゆえに弁護士へ法律相談に行く方は「自分はどうしたいのか」について(少し)考えをまとめておいてください。

芸者

次の記事

不安への対処・信仰と共感