法律コラム Vol.155

建築瑕疵を巡る除斥期間

建物の建築請負契約にかかる瑕疵担保責任に関しては民法・業界約款・住宅品質確保法など多くの法規範の適用が問題となります。以下に挙げるのは、中古建物の補修工事に関し、引き渡し後相当の期間が経って為された瑕疵担保責任追求に関し被告側で論じたものです(平成12年の事案)。

1 本件訴訟物は民法634条にもとづく瑕疵担保履行請求権である。民法は瑕疵担保責任の行使期間を「目的物を引き渡したときより1年」と定める(637条1項)。土地工作物の場合、木造は5年・鉄骨鉄筋コンクリート建物は10年とされる(638条1項)。しかしながら本件契約も準拠している「四会連合約款」はこの期間を各々1年及び2年とする。この規程の有効性は裁判上確立している(東京地裁平成4年12月21日判例時報1485号41頁など多数)。住宅品質確保法が定められたのは、この規程が有効だからである(公序良俗に反し無効であれば新規立法の必要性は無い)。
2 平成12(2000)年4月1日以降が契約日である「新築建物」については確かに住宅品質確保法第七章(瑕疵担保責任特例)が適用される(強行法規)。しかしながら本件工事は築後約*年も経過している「中古建物の補修」に過ぎないので住宅品質確保法は適用されない。
3 本件の事実関係(個別事件に絡むので全部削除)
4 よって原告の本件請求は除斥期間にかかるということになる。

*裁判所は除斥期間経過の抗弁を認め原告の請求を棄却しました(確定)。
*現在、新築住宅の工事請負契約は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(2000)が適用され瑕疵担保責任に関し次の特例が定められました。新築住宅の「構造耐力上主要な部分」及び「雨水の浸入を防止する部分」の契約不適合(瑕疵)について請負人は注文者に住宅を引き渡した時から10年間瑕疵担保責任を負う。契約によって上記瑕疵担保期間を20年以内に延長することができる。
 2005年に発覚した構造計算書偽装問題を契機に、売主等が責任を果たすことができない場合、住宅購入者等が酷になることが明らかになりました。そこで住宅購入者等の利益保護のため、2007年5月、住宅瑕疵担保履行法が制定され新築住宅の売主等に対し「保険加入」または「保証金の供託」と資力確保措置について消費者へ説明することが義務づけられました。
*2020年4月に改正民法が施行され「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に変わりました。
 2020年3月末までに住宅の売買契約や工事請負契約を結んでいる場合、旧民法の「瑕疵担保責任」が適用されます。契約書に瑕疵担保責任の条項(特約)がある場合はその内容が優先されます。改正民法は注文者が請負人の契約不適合責任を追及するためには原則として「契約不適合を知った時から1年以内に不適合である旨を通知しなければならない」としています(もっとも請負人が不適合を知っていたとき又は重大な過失によって知らなかったときはその限りではない)。

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