5者のコラム 「芸者」Vol.72

顧客から求められる「心」

酒巻明子氏は「キャバクラ嬢の作法」(総合法令)でこう述べます。

勘違いしている女の子も多いのですが、キャバ嬢は努力すればするほど必ず結果が出る仕事です。すごく美人なのに、指名がもらえない子。それほど美人でないのに、お客様から凄く人気がある子。私から見たらどちらの状態も不思議ではありません。前者はきちんと仕事をしていないから指名があまりもらえず、後者はきちんと仕事をしているから指名が沢山もらえるのです。キャバ嬢は、風俗嬢とも芸能人とも違うものをお客様から求められています。それは何かというと「心」なんです。女の子の会話や接客による癒しにお客様はお金を払っています。自分のこととして考えてみて欲しいのですが、プライベートで1回の飲み会に3万円とか5万円のお金を使えますか?エステや美容には使えても、飲み代に高いお金はなかなか使えないですよね。3万円とか5万円を使うのは自分がかなり必要と思うものだけでしょう。ですから、私たちの仕事は男性からとても必要とされている仕事なんです。

主観的な意識と客観的な結果が結びつく保障は何処にもありません。優秀なのに依頼者が少ない弁護士。優秀でないのに依頼者から人気がある弁護士。どちらも不思議ではありません。両者のギャップを埋めるために弁護士は「他者から見える自分」を意識することが不可欠です。弁護士は学者や裁判官とは違うものを顧客から求められます。何かというと「心」です。相談者や依頼者の状況や心情を酌み取ってくれる配慮に対してお金を払います。弁護士が他の誰かに対してプライベートな相談で5250円ものお金を使いますか?使うのは自分が必要だと感じられるものだけでしょう?弁護士業務は顧客から必要とされている仕事です。相談に対する弁護士の回答内容と配慮に心に響くものが含まれているときに相談者は「依頼しよう」との気持ちを固めるのです。

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