5者のコラム 「易者」Vol.87

貴方が思うほどは*ではない

損害賠償請求事件を受任する際の指針のようなものがあります。それは「常識的な線へ依頼者を導く」ということです。楽観的過ぎる人には「貴方が思うほどは高くない」と言いますし、悲観的すぎる人には「貴方が思うほどは低くない」と言います。依頼者が瞬間的に意識している感情に冷や水をかけて冷静になってもらい、社会(法律)的に妥当な・普通の落ち着きどころにもっていく。私たちはこういう仕事をしているのだと思っています。さて最近の若い方には結婚に悲観的な見方をする方が少なくないようです。しかし悲観的な方には「結婚は貴方が思うほどは悪くない」と私は言いたい。結婚でしか味わえない喜びというものが存在します。何より本日のご両親様の喜びがこれを象徴していると思います。が、結婚に対し過度に楽観的になってもいけない。結婚を美化している方がたくさんおられますが御列席の既婚者も御自分の結婚生活が良いことばかりだったとは思っておられないでしょう。先輩方の結婚生活も辛いことや問題点がたくさんあったことと思います。ですから結婚に楽観的すぎる方には「貴方が思うほどは良くない」と私は言いたいのです。では、その中間の程よい結婚というものがあるのでしょうか?私も判りません。その答えは各々の当事者が日々の生活の中で作り上げていくしかありません。しかしヒントになるものがあります。それはここに御列席の先輩方です。結婚を何年も継続してこられた先輩の方々は人生の経験を経た者にしか分からない知恵を有しておられるはずです。ですから、もし2人が人生の迷い道に入り込んでしまったならば、先輩の方々は2人に対してご自分の経験をふまえた話をしていただき、妥当な落ち着き処に2人を導いて頂きたく存じます。2人の末永き幸福を祈念して私の挨拶とさせていただきます。

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