不確実性と医療制度
大学の機関誌(HQ2026/4)に載せられた井伊雅子「不確実性と医療制度」なるコラムが面白かったので要約文を作成。>人間は確実性を求める。しかし絶対に確実という検査や治療法は存在しない。技術が進歩すれば不確実性が減ると思われているが実際には判らないことも増える。不確実性の下で賢い意思決定をするためには費用も情報も多ければ多いほど良いという訳でもない。日本では自己負担が低いと不必要な受診が増える傾向にある。他の先進諸国では過剰診療は日本ほど問題になっていない。何故か?日本の住民は不安なのだ。医療のように情報の非対称性がある場合は患者に正しい情報が与えられていないので価格だけで需要をコントロールするのは適切ではない。多くの国は供給者(医療者)をコントロールすることで患者が適切な医療を受けられるようにしている。しかし日本は供給者をコントロールする仕組みが弱い。世界でも類を見ない自由放任主義体制である。医学知識のない一般人が過剰医療を求める傾向が日本は強い。検査はリスクが高い人に絞って行われないと大量の偽陽性が出てしまう。検査の有益性だけでなく有害性も含めて意思決定が行われる仕組みが欲しい。不確実性の下で賢い意思決定をするためには「情報は多ければ多いほど良い」とは言えない。政府が適切なエビデンスとガイドラインに基づき医療情報を無料で提供し医療の質を担保する仕組みをつくることが必要だ。地域住民のヘルスリテラシーを向上させることで私たちはより健康になれるし無駄な医療費も削減できる。しかし現行制度では地域住民のヘルスリテラシーが向上するとセルフケアが増えるため医療機関の経営が悪化する。診療報酬制度の見直しが不可欠である。

