5者のコラム 「医者」Vol.14

良い医者とは(1)医師の視点

永井明氏は「良い医者とは何か」医師にインタビューしました。
A医師「名医は同僚のS先生です。私にはとても真似が出来ませんが彼はひたすら患者さんの言うことを根気よく聞いてあげる。病人・とくに内科に来る患者さんの内、何割かはそれだけで具合が良くなってしまうのです。薬も何も要らない。貝原益軒の言う「上医」ではありませんが、これ以上の名医はいませんよ。ゆっくり話を聞ければこれにこしたことはありません。しかし診療時間は限られているのです。必然的に数をこなす感じ、それが実情です」 B医師「お医者さんの持っている言葉と患者さんのそれとが違っている。どうも話が通じない。と言ってもそれは医学用語云々ということではないんです。(略)この辺りの問題・お医者さんと患者さんの関係性とでも言いましょうか・そのあたりに自分なりの答えを持っているお医者さん・あるいは天性を最初から身につけているお医者さんということになるのでしょうか」 C医師「根気の良さが名医の条件だと思いますね。(略)たとえば胸壁に癒着した胸膜をはがすこと1つにしても、多少の出血は仕方ないとばかりにバッサリ切って手術時間の短さを誇るお医者さんより、多少時間はかかっても、1つひとつ根気よく癒着を剥がし、出血量を必要最小限度に押さえようと努力するお医者さんのほうが(見栄えは良くないけど)名医だと言えるんじゃないかな。 (略)医者の技術・知識なんて総合的にみればだいたいみんな同じようなものです」 (「医者が尊敬されなくなった理由」(集英社文庫143頁)
 依頼者の話を根気よく聞く弁護士や依頼者との関係性に関し自説を持っている弁護士は素晴らしいと思います。依頼者のため地道な作業を行える弁護士も立派です。ここまでは私にも言えます。ただ「俺は優秀だと顔に書いてある弁護士は例外なくダメですね」「弁護士の技術・知識なんて皆同じようなものです」といった台詞は今の自分にはとても言えないですねえ。

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