5者のコラム 「易者」Vol.35

少ない分類・関係妄想・両義的コトバ

佐藤六龍氏は「『占い』は信じるな」(講談社+α新書)でこう述べます(27頁以下)。

1 当たっているように見える占いは分類が大雑把なものに多いのです。単純でわかりやすくできているために人気も高いものです。その一番は人を四タイプに分類する血液型判断、そして九つの星で見る九星気学、西洋占星術と続くのでしょうか。
2 心理学用語に「関係妄想」というものがあります。これは何の関係もない事柄を自分に関係があると思いこんで結びつけてしまう心のはたらきをいいます。関係妄想は、占い師に占ってもらう人にも煩雑に見られるものです。
3 占いの言葉でよく引き合いに出される言葉に「お母さんは死んでいませんね」というのがあります。(略)お母さんは生きている(死んではいない)のか死んでいる(死んでもういない)のか両方に取ることが出来ますね。(略)この先制攻撃で、当たっていると思わせたらしめたもの、あとは依頼人の関係妄想を引き出していけばよいのです。

弁護士の反対尋問技術には占い師の問答技術に通じるところがあります。
1 反対尋問巧者は敵性証人に「イエス」と言わせるのが上手です。イエスと言わせるために最初は大雑把な判りやすい質問を並べていきます。裁判官は反対尋問で証人が肯定した事項を「真実」と感じますからイエスと言わせる流れを作っていくことが極めて大事です。
2 反対尋問巧者は証人に「自分に関係がある」と思わせる質問を盛り込むのが上手です。敵性証人への質問が抽象化することは裁判官もある程度は許容します。証人はその質問を「自分の体験に引き寄せて」回答します。尋問者はその回答をもとに具体的質問を繰り出していきす。
3 反対尋問巧者は「回答が肯定でも・否定でも」回答を元に自分の尋問事項を繋げていくことが巧みです。いずれの答えでも「待ってました」とばかりに次の質問を繋げてゆきます。