5者のコラム 「芸者」Vol.114

自分の芸の幅を拡げておく

あかねさんは「No.1キャバ嬢の誰とでも楽しく話せる技術」(こう書房)でこう述べます。

私は高校を中退して水商売の世界に入った人間ですから、当然、学校の成績は全然ダメ。だから学校にはあまり、というかほとんど良い印象がありません。が、私が学校で学んだこと・経験したことはけっこう仕事の役に立っています。記憶術や観察術もそうですが、もっとベタなところで言うと「百人一首」ですね。何を隠そう、私は百人一首を全部覚えているのですが、そのことを年配のお客様に言うと、ガラッと態度が変わります。(略)私が百人一首を覚えたのは小学校でそういう授業があったからで、そのときはこれでお金を稼ごうなんてこれっぽっちも思わなかったのですが、今は百人一首ネタだけで毎年百万円以上は稼いでいます。

私は高校生のときに理科系を志し大学受験で挫折しました。一浪後、社会学部に行き大学院に行こうとして挫折しました。逃げるような形で司試受験を始めました(予備校の指導は受けましたが基本的に法律は自学です)。が挫折の中で学んだこと・経験したことは仕事の役に立っています。理科系的な見方や哲学社会学的な観察眼もそうですが、もっとベタなところで言うと、このウェブサイトですね。あかねさんが言われているとおり、私が法律以外の分野でも多少の知識があることを知ると、相手の態度は少し変わります。私が哲学や社会学をやったのは不本意ながら社会学部に入ったからで(本当は経済学部志望でした)「これで職業の役に立たせよう」なんて全く思わなかったのです。が、今は哲学・社会学・歴史知識をコラムのネタにしています。これは純粋な趣味であって、そのことで良い仕事が舞い込んでくる訳では全くありませんが、若いうちに自分の芸の幅を広げておくことは思わぬ形で自分に良い結果をもたらしてくれる。私もそう言い切ることが出来ます。

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