ストレスと付き合うための思考回路
A 最近、気の重い仕事があるんですよ。その依頼者が来ると1日中何か精神的に追いつめられたような気分になるんです。普通こういうのをストレスって言うんでしょうけれど、簡単に「ストレス」って言葉じゃ済まされないくらいに重いんですよ。
B そうなの。そりゃ大変だねえ。まあ、弁護士を何年かやってたら「着手金を全額返して良いから、この仕事から降りさせてくれ」って仕事が必ず出て来ますよ。
A そんなものでしょうか。そう言えば、先生はあんまりストレスに追いつめられていないような感じがしますね。何か秘訣があるんですか?
B ストレスを無くす秘訣なんてありませんよ。ただ、20年近くこの仕事をやっていればストレスと上手に付き合う思考回路は少し身に付くんじゃなかろうか。
A 思考回路ですか。うーん。是非教えてください。
B まあ、たいしたことじゃないんですけど。辛い状況になったら、今まで経験した中で最高にきつかった事件を思い出すんです。そして「それを過去のこととして語れている現在の自分」をイメージするんですよ。するとね「あの大変な事件を自分は乗り越えてきた・それに比べれば今回の事件は大したことない」って思えてきます。
A なるほど。気楽に見える先生にも過去には辛い仕事があったんですね。
B ええ。ただ、今になって思うと、その最高にきつかった事件、思い出したくもない嫌な事件。それが自分の中では「それと比較することで辛い状況を乗り越えることが出来る基準」になっている。それは有り難いこととも思えるんです。
A なるほど。そうすると最高にきつい・シビアな事件というのは、もしかしたら自分にとっての大事な宝物になるのかもしれないんですね?
B そうなんだよね。そう考えることが出来れば少し気も楽になるんじゃない?