5者のコラム 「役者」Vol.10

悪い尋問の例

山室惠氏は悪い尋問をこう整理しています(二弁フロンテイア)。

1 形式面
 ① 聞きにくい尋問:声が小さい・早口すぎて聞き取れない・発音が不明瞭で聞きにくい
 ② テンポの悪い尋問:簡潔でない・間延びしている・間がない(答えている途中に質問し始める)合いの手が多い・要約したがり・それからどした(下手なオープンクエスチョン)
2 内容面
 ① 無理な尋問:精密すぎ(必要ない所で過剰な精密さ)押し付け過ぎ(信用性は低い)
 ② 無意味な尋問:事実を聞かない(「知らない」という人に執拗に意見を問う)重複(時間の無駄)折伏(力ずくで屈服させる)揚げ足取り(どうでも良いミスを追求)
 ③ 無駄な尋問:些末(争点と関係ない事柄について延々と聞く)いじめ(証人を怒らせる)釣り糸(何か引っかからないかなと漠然と期待する)

役者が発声練習を繰り返すように弁護士も尋問の基本的な所作を整えて法廷に臨むべきです。良い台本があっても役者の声が観客に届かなければ意味がありません。

5者

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