法律コラム Vol.27

レンダーライアビリティ

 近時は聞かれなくなった用語で「貸手の責任・融資者の責任」という意味です。アメリカで開発され日本でもバブル時における銀行の行動の責任を追及する法理として活用されました。以下の書面は、銀行が主導したゴルフ場への投資勧誘行為に関する損害賠償の請求(訴訟形式は融資金との相殺による債務不存在確認訴訟)で述べたものです。この事案は本州のゴルフ場への融資を拒否した銀行が、頭取自らゴルフ場の理事になり、会員権の販売を斡旋しつつ購入資金を市民に融資し続けた事案です。銀行は自らのリスクを市民に転嫁したのです。ゴルフ場が倒産して会員権が紙屑となり銀行への債務だけが残った原告が憤慨して提起した訴訟です。(中野弁護士との共同)

 被告銀行は本件ゴルフ場に対する直接の融資を拒否した。造成資金の融資のみならず、会員権の販売についての提携ローンも審査の上で否決となっている。被告は右事実を認めつつ、その理由を「場所が遠かったから」などと虚言を呈している。銀行が数百億円の融資を検討するにあたり単に遠いからという理由だけで否決することは絶対にない。融資審査に当たっては、経営母体の財務内容を慎重に審査し返済可能性を吟味するのが通常である。特に*年初頭はバブルの真っ盛りであり、金融機関の融資姿勢は極めて緩いものであった。かかる状況下で造成資金の直接融資のみならず会員権の販売についての提携ローンも審査の上で否決となった事実は被告が株式会社*(ゴルフ場の運営会社)の危機的状況を熟知していたことを物語る。被告が右事実を否認するのであれば、本件ゴルフ場に対する直接融資や提携ローンを否決した際の審査内容を資料をそろえて明らかにされたい(平成*年*月*日付文書提出命令はこの趣旨で申し立てたる)。被告は訴外*銀行も本件ゴルフ場に関与していることを自己の責任を免れる口実にする。しかし右*銀行も紹介融資の責任をとらされる形で(東京地裁を中心に)多くの訴訟対象となっている(甲*号証を参照)。ゆえに「*銀行も融資しているから自分には責任がない」という被告の論法が成り立たないことは明白である。
 
* 本件で遅延損害金は膨大な額に膨らんでいました。事案の内実を把握した裁判官から「遅延損害金を全額免除し元本だけを分割で支払う」旨の和解案が示されました。原告被告の双方がこれを受け入れ、和解成立により本件訴訟は終了しました。
* 当職らが判決を求めなかったのは以下の事情によるものです。最高裁平成2年2月20日判決は「購入者が金融業者の履行請求を拒みうる旨の特別の合意あるとき、または不履行の結果を金融業者に帰せしめるのを信義則上相当とする特段の事情があるときでない限り、購入者が右解除をもって金融業者の履行請求を拒むことはできない」と判示しています。本件担当裁判官はこの「特段の事情」は認められないと発言しました。変額保険に関する判例も多くは融資者責任に否定的でした。ゴルフ会員権販売に関し東京地裁平成6年11月14日は上記最高裁判例における「合意」や「特段の事情」は認められないと判示しています。

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