5者のコラム 「易者」Vol.115

7歳までは神の内

正木晃「お化けと森の宗教学」春秋社の記述。

日本の文化的伝統では「7歳までは神の内」といって、数え歳で7歳、いまの満年齢なら6歳までの子供は神の領域にある存在で、人間とはみなされなかった。その最大の理由は、昔は栄養状態が悪かったり医療が未発達だったために子供がなかなか育たず、ちょっとしたことですぐ死んでしまったからだ。つまり子供は常に死と生の境にいた。またそうした生と死の境にいるからこそ神にも出会えると考えられていた。(略)7歳までの子供は「人間」ではないので死んでも人間を葬る墓には入れなかった。賽(さい)の神のところに葬ったのである。ゆえに村境にある賽の神の周りには子供の霊が沢山集まっていると考えられていた。そんな賽の神が仏教が広まるにつれて、お地蔵さんに地位を譲っていった。お地蔵さんは地獄に落ちた人でも救ってくれる有難い仏様であった。

私の記憶に照らしても7歳までの子供には神々しいものが感じられました。他方で彼らは神的なもの・悪魔的なものを敏感に感じ取っているように思われました。「7歳までは神の内」という感覚は現代社会においても大切にされるべきだと私は感じています。地蔵菩薩信仰は地獄の意識に繋がっています。日本由来の「賽の神」にインド由来の「地蔵菩薩」信仰(仏教)中国由来の「閻魔大王」信仰(道教)が融合しています。子供は死と隣り合わせにいました。「親より早く死ぬ子は賽の河原で石を積む・けれども鬼から積んだ石を壊されてしまう」悲しい物語もありました。悲しい存在である子の霊を救ってくれるのがお地蔵様でした。お地蔵様は閻魔大王の仮の姿であり、六道で人の生前の悪行を監視していると信じられていました。地蔵菩薩は粗末な服装をされていますけれども実は位が高いのです。現代社会ではこういった「形而上的な物語」は忘れ去られていますが、子供の命のはかなさを感じるたびに私は昔の物語をイメージしてしまいます。