5者のコラム 「役者」Vol.147

面倒くさいという気分の分析

宮崎駿監督が「めんどくさいなあ」と呟きながら作業している姿は世間に衝撃を与えました。宮崎監督は映画製作を<楽しそうに>作業していると想像していた人が多いからでしょう。しかし「プロ」としての作業は実に面倒くさいものなのであり、楽しそうに作業できるのは実は「アマチュア」なのです。この面倒くさがりに関してFBに次の含蓄に富む記述がありました。

面倒くさがりは凄いよ。反省文書くの面倒くさいから校則破らないし、警察行ったり出廷するの面倒くさいから犯罪しないし、朝から並びたくないからギャンブルもしないし、病院通うの面倒くさいから健康に気を遣うし、老後ゴロゴロしていたいから働くし。社会はもっと面倒くさがりを評価すべきだよ。

人は何故紛争を生じさせたくないのか?「面倒くさいから」です。紛争を生じさせてしまった後に弁護士に依頼するのも「面倒くさいから」です。弁護士自身だってそうです。私が1人事務所を継続しているのは複数での仕事が面倒くさいからです。事務局が要るのは電話対応したり・書類を出し入れしたり・戸籍をとったり・そんな作業が面倒くさいからです。訴訟上の書類(訴状・準備書面等)の作成に気を遣ってるのもミスがあると後々面倒くさいからです。手を抜かずに仕事をしているつもりですが、それは気を抜いていると反動が来て面倒くさくなるからです。仕事を頑張っているのは、若干の収入を得て住宅ローンも返済し、それなりの老後を過ごせるようにしておかないと、後々でとても面倒くさいからです。「面倒くさいという気分」は人を怠けものにする消極的感情ではありません。人を前に動かす積極的なエネルギーなのです。それゆえプロたる弁護士は人間の「面倒くさい」という気分の分析と評価を「面倒くさいと思わずに」行っていくべきなのです。