5者のコラム 「易者」Vol.75

自分が存在しなくて良い状態を目指す

 高橋桐矢「占い師入門」(雷鳥社)の記述。

メールで占っていたとき、毎週・毎日のように占いを依頼してくるお客がいた。同じ問題を何度も占っても意味はないし、占いに依存してしまうのは決して良いことではない。占い師として頼られるのは正直嬉しいし気持ちいい。だからこそ相談者を占い依存症にしないように意識して気をつけている。占いを単なる商売と思うなら、おいしい客ということになるだろう。そこに占い師の矛盾がある。占いたいと思うとき、人は不安にとらわれている。人々が全員幸せになったら、占い師という職業は必要なくなるのかも知れない。

社会から紛争が無くなるとき・その結果として人に不安にとらわれなくなるときに弁護士という職業は必要なくなります。しかし「人が不安にとらわれなくなる」事態は生じません。何故なら(お釈迦様が看破したとおり)人生は四苦八苦に満ちており人が不安に全くとらわれなくなる理想社会など存在し得ないからです。弁護士という職業そのものが社会から消滅する事態は生じません。かような不完全な社会で苦しむ人々から頼られるのが弁護士という仕事なのですが、相談者を弁護士業務に依存させるのは全く間違いです。何故ならば、社会生活がうまくいっている限り、一般市民にとって弁護士業務は必要ないものだからです。弁護士業務を単なる商売と思うならば、自分の事務所に何度もやってくる顧客は上客ということになります。しかし事務所に何度もやってくる顧客は社会生活上の問題を継続的に抱えこんでいることを意味します。警察や僧侶や医師と同様、弁護士は自分が存在しなくて良い状態を目指すために存在します。そこに弁護士の矛盾があります(医者30)。弁護士が自分の法律事務所に何度もやってくる客を「おいしい客」と認識し、法律依存症にさせて、そこから継続的に「稼ごう」と思うのは極めて品が悪いことなんですね。

芸者

次の記事

ウンコに関するネタ3題