5者のコラム 「学者」Vol.82

法学部によるランキング低下?

茂木健一郎氏はブログにおいて次のように述べます(「東大法学部改革案」)。

東京大学は明治以降の日本近代化を担う「文明の配電盤」でした。その中でも法学部は官僚を輩出する、いわば「東大の中の東大」でした。ところがグローバル化などの状況の変化によって法学部が「お荷物」になってきたように私は感じます。法学部のカリキュラムは比較法学やローマ法・法制史などの科目はあっても、やはり日本の実定法が中心。すると国際的学生構成にするのは難しい。霞ヶ関や司法中枢との強固な結びつきは東大法学部の最大の売りでしたがグローバル大学競争時代にはヘタをすれば「不良資産」になりかねません。(中略)東大は法学部があることで大学ランキングが上がるよりも、どちらかと言えば下がるでしょう。これは皮肉なことです。東大文系学部の中で法学部(文I)はずっと選民意識というか自分たちこそ東大だという認識を持ってきたように思います。ところがふり返ってみると文Ⅱ(経済学部)文Ⅲ(文学部やその他学際的な科目)の方が現状はどうであれ実は学問のあり方としては国際化・グローバルな体制がとりやすい。法学部は、あまりにも日本の実定法・そして国家との結びつきが強かったがために、かえって国際化が難しい。

上記文章はグローバル化の文脈で書かれていますが、司法改革の文脈でも「東大は法学部があることで大学ランキングが下がる」との指摘は当たっています。法学部は将来が最も不安定な学部になっているからです。実務法曹の供給源であった法学部は司法改革によって壊滅的な打撃を受けています。その結果、文系最高峰の東大文Ⅰから法学部に進学しない学生も出始めているそうです。「プラチナチケット」は「立見席入場券」(高学歴ワーキングプアの入口)に成り下がりつつあります。