5者のコラム 「芸者」Vol.49

教えるという行動の本質

黒服コタロウ「銀座流売れっ子ホステスの会話術」(こう書房)の記述。

教えるという行動の本質はだいたい次の3つに分類されます。①相手の知らない情報を提供する。②知識や技芸を伝えて身につけさせる。③善悪の観点などを話して理解させる。それぞれについて「何故、男との会話ではNGなのか?」を見ていきましょう。(略)知っていなくてもいい内容であれば教えても構いません。それは極端に言えばその内容に興味を持つかどうかも含めて男にとっては「どうでも良いこと」だからです。一方、知っていなければならない内容を教えるのは危険です。知っていなければならないことを知らなかったというだけで、すでにプライドが傷ついている上にそれを女性から教わることで「女性よりも上の存在でありたい・あるべきだ」という男のメンツが丸つぶれになってしまうからです。(略)このことがわかると②と③のNG色がとても強いこともわかるでしょう。なぜならば、これらは上からものを言うような態度になりがちだからです。(略)教えるという行動にはその会話のなかの主導権を教える側が握っているという意味合いも含まれます。そこにはどうしても上下関係が出来ます。そして女性が上の立場で接すると男は卑屈になってしまうことがあるのです。

弁護士は法的知識や技術的観点の話をすべき場合があります。善悪の観点を理解してもらう場合もあります。が、これらを当然視しすぎると依頼者との関係で極端な上下関係が形成されてしまい事後の円滑なコミュニケーションが図れなくなります。では弁護士はいかなる意味で依頼者に「教えを乞う」ことが出来るでしょうか?答えは事実関係の情報を重視することです。その事案に関する情報は依頼者しか知りません。弁護士は依頼者から「教えを乞う」しかないのです。

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