5者のコラム 「易者」Vol.130

少し緩い精神の持ちよう

朝日新聞デジタルの羽生四冠(当時)インタビュー記事。

4年に1度のオリンピックならトップのモチベーションでいくことが出来ると思うんですけど、1年中対局していて何十年も高いモチベーションを保ち続けることはほぼ不可能です。だから天気と同じで晴れとか曇りとか雨っていう日があるように多少の浮き沈みはそういうもんだという割り切り方をしています。勝っても負けても感傷にひたらず直ぐに忘れる。同じ週に次の対局が控えていることもある。1つ1つの結果を重く受け止め過ぎると肉体的にも精神的にも辛くなる。将棋って個人競技だから、ミスを突き詰めると自己否定になるんですね。審判が悪かったとか・風向きが悪かったとか・チームメートが悪かったとか、そういうのがないから結局自分が悪くて出来なかった、という結論になりやすい。だから、ちょっといい加減なところも必要だと思います。

受任した事件全て100%のモチベーションで仕事できる訳ではありません。全ての事件で依頼者が100%満足する結果を残せる訳でもありません。多少の浮き沈みは付きものという割り切り方をしないと続きません。勝っても負けても感傷にひたらない。同じ日に別の訴訟が控えていることもある。1つ1つの結果を重く受け止め過ぎると肉体的にも精神的にも辛くなる。訴訟の場合、裁判官が悪かったとか・事案が悪かったとか、そう言える余地があります。控訴し上級審の判断を求める余地もあります。自分が全て悪かったという結論にならなくて済みます(自分のミスによる場合は猛省が必要ですが)。長い目で見れば、少しいい加減なところも必要。少し緩い精神の持ちようこそプロとして長期間に一定以上のパフォーマンスを発揮し続けるコツだと私は考えております。

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