5者のコラム 「易者」Vol.57

変じゃないかという不安とプライド

A 私はずっと自分が少し変なんじゃないかって思ってきたんです。小さいときから他人が考えていることがよく判らないまま生きてきたんです。何故、他の人は普通に暮らしているんでしょうか?先生、私はまともな法律家になれるんでしょうか?
B うん。僕も若い頃はずっとそう思ってきました。他の人は何であんなに上手に回りに溶け込んでるんだろうって不思議よね。でも、君はその変な部分に自分なりのこだわりが結構あるんじゃない?その変な部分を無くしたら自分らしさも同時に無くなるような気がするんじゃない?
A ええ、そう言われればそうですね。
B 断言するけど、君は大丈夫だよ。身も蓋もない言い方をすれば、貴方が一番普通なの。「自分は少し変なんじゃないか」という不安と「自分なりの小さなこだわりを大事にしたい」っていう少しプライドが入り混じった感情。そんな気持ちを併せ持っている君が一番普通な人なの。あのね、僕たちは本当に変わってる人をよく見てるから。本当に変わってる人は自分が変だなんて全く思っていないよ。本当に変わってる人は「自分は普通だ」って確信してるよ。「自分よりも他人のほうが変わっている」と思うわけよ。法律家はみんな「自分は少し変なんじゃないか」という僅かな不安を抱きつつ、自分の「プライド」を持ちながら仕事をしていくのが一番良いと僕は思うよ。
A そうなんですか。私は普通なんですか。うーん、なんか嬉しいような、嬉しくないような。よく判らないんですけど、じゃあ私は今後どうすればいいんですか?
B 何もしないでいいよ。今のままで修習生を普通にやっていけばいいんだよ。

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