5者のコラム 「易者」Vol.150

アドラー心理学の知見・課題の分離

斎藤孝「50歳からの孤独入門」(朝日新書)に次の記述(114頁)。 

アルフレッド・アドラーの創始した心理学(アドラー心理学)では、解決しなければならない問題があったとして、それが自分の課題であるか、それとも他人の課題であるかを分けて考えます。「課題の分離」と呼ばれるものです。一見ドライですが、人生の課題は本人が解決すべきものです。(略)しかし私たちは、家族の問題であれ友人の問題であれ、自分ではない他人の問題までもかぶってしまうことがあります。このとき「それはその人の課題であって、あなた自身の問題ではないと考えなさい」というのがアドラーの考え方です。とても当たり前に聞こえますが、実際にこう考えてみると心を整理しやすくなります。

私は政治の領域で「課題の分離」を意識的に行っています。某公的な職務を行っており、その職務内においては他の人よりも政治を真剣に考えています。かなりのエネルギーを使っています。が自分が何らの地位にも就いていない領域に関しては結構突き放した感覚を持っています。例えば領土問題を考えてみます。領土に関しては各国固有の言い分があります。領土問題に異常に関心を寄せる人がいますが、私はそれは自分の課題ではないと感じています。それは外交官の努力によるべきもの。何故ならそれこそが彼らの仕事だからです。プロの外交官は(50年後100年後を見据えた長期的スパンで)最善の外交努力をして欲しいと思っています。私は依頼者の法律問題に関し努力をします。それが「自分の課題」だからです。しかし法律問題には一定の枠組があり、それを超えた所にまで要望を出されても無理な話しです。どう生きるべきかという人生問題は「依頼者が考えるべき課題」です。なので依頼者には心を整理しておいて頂きたいと願っています。

役者

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