5者のコラム 「役者」Vol.96

いろいろな舞台・さまざまな人生

 福岡アジア美術館にて「スタジオジブリ・レイアウト展」を拝見。宮崎監督が自ら手で書いたアニメーションの基本設計図(レイアウト)が多数展示されている。1本のアニメ作品にはこういった手書きのレイアウトから始まり多数のスタッフが提供する膨大な時間が凝縮されている。アニメに偶然の要素は無い。全ての表現に製作者の意図がこめられている。「一流プロが作品を創るとはこういうことなのだ」と実感できた。夏目漱石書簡が学問的研究対象となっているのと同様、宮崎監督のアニメレイアウトは将来の研究対象となるに違いない。

 久留米まち旅博覧会で茶会に参加。藩主クラスが使っていた古い茶室「千松庵」を拝見した後、有馬記念館レストランで懐石を食し、茶室「古城庵」で薄茶をいただくものだ。男は私1人だけである。茶の知識も経験も無いのに、男という理由だけで正客にされることに抵抗はあるが、そのほうが座りが良いようなので仕方が無い。お茶会に参加するのは「まち旅」で年1回程度。日常と全く違う空間に身を置くのは気持ちが引き締まって良いものである。

 福岡市千代パピオでアマチュアサックス愛好者の演奏会「MyLife/MyLive」を鑑賞。最初に登場したのが次男。いつの間にか結構うまくなっていて驚いた。2人の中学生が演奏している間は余裕で聴けた。その後、社会人の皆様方の素晴らしい演奏に聴き入る。出演者の立場や経歴はさまざまだ。忙しい仕事・その間を縫って練習を積み重ねられた膨大な時間。それらをイメージして目の前の舞台の演奏を聞いていたら、何故か涙があふれてしまった。