5者のコラム 「役者」Vol.38

あっぱれ千両役者

 小谷野敦氏は「大河ドラマ入門」(光文社新書)において織田信長・豊臣秀吉・徳川家康を誰が演じたか、以下のように整理しています(47頁)。
             (織田信長)  (豊臣秀吉)  (徳川家康)
太閤記(65)     高橋幸治    緒方拳     尾上菊三
天と地と(69)    杉良太郎    浜田光夫    松山省二
国盗り物語(73)   高橋英樹    火野正平    寺尾聡
黄金の日々(78)   高橋幸治    緒方拳     児玉清
おんな太閤記(81)  藤岡弘     西田敏行    フランキー堺
徳川家康(83)    役所広司   武田鉄矢    滝田栄
春日局(89)      藤岡弘    藤岡琢也     丹那哲朗
信長(92)       緒方直人   仲村トオル    郷ひろみ
秀吉(96)        渡哲也    竹中直人    西村雅彦
利家とまつ(02)    反町隆史   香川照之    高嶋政宏
功名が辻(06)     館ひろし    柄本明     西田敏行
天地人(09)       吉川晃司   笹野高史    松方弘樹 
 家康は秀吉の悪政を正した理知的将軍というイメージで代表格が児玉清・滝田栄でした。大物を演じるには大物の役者(千両役者)が必要ですね。裁判官が難しい事案を和解でまとめるには当事者を引きつける力が必要です。同じ和解案でも優れた裁判官が提示すると当事者にすんなり受け入れられるときがあります。訴訟における和解の場面にはドラマの要素があります。解決困難な事案を見事に和解に導く優れた裁判官に巡り会うと、私は「 あっぱれ!千両役者!」と言いたくなります。

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