5者のコラム 「易者」Vol.140

お墨付きを与えること

「あなたの未来を占う2018年前半」(PHP)の記述(127頁)。

西洋占星術をかじってみると、私は個人の性格や資質をあらわす10の天体の内、半分の5つが天秤サインにある超天秤座人間でした。私自身もなんとなく自分は極端なタイプだろうと感じていたのです。あらゆる要素を平均的に持っていると言うより一部の性質が突出していると感じていました。その感覚にお墨付きをもらった気分になったのです。そこから夢中で本や占い記事を読み考察しました。はじめて「学びたい」と真剣に思ったのは占いだったかもしれません。(略)占い勉強会への参加をしたり鑑定も受けました。「あなたはこういう人です」「いまこういう状況です」と人の口から語られるのは、心がマッサージを受けている心地よさで癒やしを感じました。大人になってから、いや子供のときだって、こんなふうに自分のことだけを話してもらった体験はなかったと思います。 

弁護士は相談内容を法的類型(要件事実)にあてはめながら聞いています。事案の本質をあらわす何らかの中核的事実を意識しながら相談者の話を分析します。相談者の話を漫然と(あらゆる要素を平均的に)と言うより一部の性質を突出した感じで聞いています。相談者の不安や当惑に法的根拠(お墨付き)を与えること(逆に言えば不合理な相談には「お墨付き」を与えないこと)が法律相談の主たる機能です。法律相談において「あなたはこういう人です」「あなたはいまこういう状況です」と弁護士の口から語られるのは(事案にも依りますが)心がマッサージを受けているような心地よさ(何か癒やされる感じ)を受けることがあると思います。法律相談においては、相談者が「こんなふうに自分のことだけを話してもらった体験はなかった」と思えるくらい弁護士は目の前の相談者のことだけを考えながら話をするのです。お互いにとって貴重な時間ですね。