久留米版徒然草 Vol.137

合川町の朝散歩

約30年前、久留米に住みだして最初に住んだのが合川小学校東のアパートだった。この頃の合川は水田ばかりで立派な建物は県の土木事務所庁舎くらいだった。シネコンになっている辺りは近年まで筑後川の遊水地であった。合川小学校は校舎とグラウンドに高さ2メートルほどの段差があるが、これは古代筑後川が形成した崖線である。小学校東の路地に和泉地区の納骨堂があり、直ぐ裏手に高島野十郎の旧居がある。高島家は酒造業を営む資産家だった。野十郎は東京帝国大学農学部水産学科を首席で卒業するも周囲の期待に反して画家の道へ進む。野十郎は終生画壇と交わることなく一貫して独自の写実表現を追求した。晩年は柏市郊外に自ら設計した質素なアトリエで過ごした。当時の私は野十郎のことを知らなかった。今更ながら野十郎がいた頃をイメージしながら帰還。

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