久留米版徒然草 Vol.334
過去の経験の保存
昔の人間は過去の経験を大切に保存し、その教えに頼ることがはなはだ忠実であった。過去の地震や風害にたえたような場所にのみ集落を保存し時の試練に耐えたような建築様式のみを墨守してきた(寺田虎彦)。吉村昭「海の壁:三陸海岸大津波」が発刊されたのは1970年。明治29年と昭和8年の津波及びチリ地震津波(昭和35年)を論じるこの著作は、忘れられつつあった津波の記憶を記録する貴重なものであった。当時87歳の男性は語っている「津波は時勢が変わってもなくならない。必ず今後も襲ってくる。しかし今の人たちはいろいろな方法で十分警戒しているから死ぬ人はめったにいないと思う。」災害は忘れたころにやってくるのであろうか?被災者の冥福を祈り合掌。


