5者のコラム 「5者」Vol.59

1.2.3.4.5

1 1つという言葉には他に代えがたい響きがある。1つしかないという言い方が人の感情を動かす。唯一という言葉の魅惑的響き。ナンバーワン・オンリーワンという官能的リズム。「今・ここ」という再現不可能な輝き。一神教の厳格さと恐ろしさ。1という価値は不変(普遍)である。
2 男と女。生と死。善と悪。昼と夜。陰と陽。神と悪魔。形式的と実質的。表面的と深層的。積極的と消極的。プラスとマイナス。楽観と悲観。二項対立図式が人間の思考を長く支配している。1つの概念を使うことで世界は2つに分割される。2元的考察は分析的に考える基本である。
3 2つの世界に中間を入れることで世界は3つに分割される。上・中・下。序盤中盤終盤。序破急。金銀銅。3は多数の始まり。イロハ。ワンツースリー。甲乙丙。3は複雑な世界観の出発点。三角測量。三段論法。3審制。三角形は外力に対して最も強い。3は力の思考でもある。
4 2元的考察をダブルで行うと世界は4つに分割される。縦軸と横軸による4象限空間。x軸とy軸で構成されるデカルト空間。4は世界を安定させる。四輪車。四天王。春夏秋冬。東西南北。起承転結。4象限空間は世界を多次元で考える基本である。
5 人間の指は5本。両方の指を足した10が十進法の基礎だ。5は世界を広げる。五山制度。ゴレンジャー。五大陸。多種多様の表象。5分割的考察は物事を多様に考える基本である。この「5者のコラム」は、かかる5の持つ多様性の響きを背景にして存立している。

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