5者のコラム 「学者」Vol.113

想像力と寛容力

中村修治さんがコラムでこう書いています。とても重要な指摘です。

少年犯罪データベースによると昭和30年代後半≒「三丁目の夕日」の街で起こる未成年の殺人犯罪率は現在の3倍以上である。(略)日本は治安が悪くなった・凶悪犯罪が増えたと騒いでいるが人口10万人あたりの殺人発生率を見ると、日本が0・62人。アメリカはその約10倍の6・8人。お隣の韓国は約2・5倍の1・62人。南アフリカに至っては約120倍の75・3人だ。(略)世界一というほど殺人発生率は少ないのに世界一というほど殺人事件を報道する国が日本というわけだ。(略)交通事故も犯罪件数も全部減っている。増え続けているのは犯罪の報道の量と大人たちの未来なき悲観論と自殺者である。現在が悪なのではなく、それを見る目・伝える手が粗悪になったのだ。(略)現在の日本に足りないのは「自分はこれからも貧しい人間になることがあり得る」という想像力。「自分も犯罪の加害者になることがあり得る」という想像力。「平凡に生きる」ことへの寛容である。

私たちが体感している社会意識の多くは操作されたものです。その大部分は(実体験ではなく)マスコミによって形成された印象に過ぎません。マスコミに踊らされずに目の前の具体的事象に向き合う・社会全体を論じる場合には実証的なデータをふまえる。それが大人としての法律家の作法であり役割です。弁護士が世間に訴えるべきなのは自分も貧困に陥ること・犯罪を犯すことがあり得るという想像力と人間は他人に迷惑を掛けない限り自由であるという寛容力の重要性でしょう。

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