5者のコラム 「芸者」Vol.156

思い込み・自信・こだわり・猜疑不足・虫の良さ

平田有和「投資敗者の思考パターン」(幻冬舎ルネッサンス新書)は投資敗者が共有する5つの思考パターンを概ね次のとおり指摘しています。

1「誤った思い込み」 成功者の言うコトバが自分にそのまま適用される、と思っている。リターンを過大評価しリスクの意味を考えない。
2「根拠のない自信」 トップの投資者ほど(情報収集に努めているものの)不安と戦いながら過ごしている。ど素人ほど自信に充ち満ちている。
3「無意味なこだわり」 少額のコストをケチるのに多額の出費に疑問を抱かない。過去うまくいった1つの方法で事後もうまくいくと信じている。
4「希薄な猜疑心」  自分に儲けを囁いてくる人の話が、その人の稼ぎの手段であるとは考えない。巷に溢れる情報は玉石混淆なのに疑うことを知らない。
5「常識を凌駕する虫の良さ」  美味しい話が自分に転がり込んでくる、と信じている。正確だが複雑な話に対して「ひと言で言うと?」と本気で聞いてくる。

これらは詐欺事件(これに準じる悪徳商法事件)で良く見受けられる被害者の典型的な思考パターンです。お金に関しては「奇跡や幸運は何処にも無い」と考えるのが正解。自分は何処にも居る凡人の1人に過ぎないと謙虚に自分を分析することが不可欠なのです。商取引の情報やノウハウは苦労して入手するものであって、それを得るのは無料ではない(無料を売りにするものには何かの対価が隠されている)。素人をターゲットにしている悪徳商人は世間に充ち満ちています。ある程度の「健全な猜疑心」を持つことが怪我をせずに経済社会を渡っていくためには不可欠なのです。凡人である私どもに「美味しい話」が来ることは絶対にありませんから。

易者

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