5者のコラム 「易者」Vol.121

修行中の職人と労働時間

「残業代」についてFB友と議論。最近の若い職人(大工など)の中には所定労働時間を意識して残業代を請求する人がいるという。私も法律家なので若い人の意識も判らないではないが(法的見地を離れて言えば)修行段階は多くの仕事をこなすことが修練になる。給料をもらえるだけで有り難いというのが昔の感覚であった(私は職人の息子なのだ)。修習を終えてイソ弁(勤務弁護士)になることを「就職」という言葉で呼ぶのは嫌いである。この時期の仕事は「修行」という言葉が相応しい。今のイソ弁は居残り仕事をした場合、ボス弁に「残業代」を請求するのかな?
A 法テラスで残業代請求事件がありました。つまるところ雇用主と被用者の人間関係によるところが大きいのかなと考えます。成果主義の名の下に労働者を都合よく使う社会になったことで、ならばと労働者側もドライに対応する。増えた弁護士がドライに法律を当てはめるとこうなるということではないかと思います。この種の事件では会社側が例外なく当該社員に対し「残念である」といった懸念の情を示されていることが多いですね。会社側は「情をかけていたのに」と思っていて、労働者側との意識のギャップを感じて切ないものがあります。
B うちは最初からパートナー扱いの「経営者」です。
C ウチは業務委託になっていて個人事件受任は自由となっていましたね。
D 時代が変わったということなんですかね?
E 勤務弁護士を採用したことがないのですがイソ弁から残業代を請求されたら複雑な感情を持つと思います。早期の独立を促すことになるのかなと感じます。