5者のコラム 「役者」Vol.89

人間ジャミラと律儀なウルトラマン

 中村修治さんはFB上でこう述べています。(14/6/28)

ジャミラが登場した初代ウルトラマンの第23話「故郷は地球」が放送されたのは1966年12月18日。実は、この怪獣は人間である。フランス人宇宙飛行士ジャミラの変わり果てた姿なのだ。フランスが宇宙開発の失敗を隠蔽するために見捨てられ異常気象の星=水のない乾燥した星に漂着し、地球からの救援を待っている間に、こんな異様な怪獣に変貌してしまったのだ。この不祥事を隠蔽したいフランスは宇宙飛行士ジャミラの救援には立ち上がらない。その復讐のために地球に戻ってきて、平和会議の出席者を次々と抹殺するというお話なのである。水のない星に漂着し、こんな異様に変貌してしまったジャミラの弱みは、なんと「水」なのである。最期はパリ本部からの命令を受けた科学特捜隊による人工降雨弾攻撃とウルトラマンのウルトラ水流により国際会議場の万国旗を潰しながら断末魔の叫びを発して絶命する。大人になった今だから判るのだが、ジャミラのシナリオの下地になっているのはきっと原子力発電のことである。福島原子力発電所の暴走を止めるローテクの数々を目の当たりにした時にわいた感情はジャミラに立ち向かう科学特捜隊やウルトラマンとかぶるのはこれが理由だ。ウルトラマンに倒された後ジャミラは立派な墓が立てられ埋葬された。墓碑銘には「人類の進化のためになくなった魂ここに眠る」と刻まれる。しかし、その前で戦いが終わった科学特捜隊のイデ隊員はこうつぶやく。「いつだってそうだ・言葉だけは立派だ。」人間の無責任から始まった暴走は個人の勇気とローテクでしか防げない。そうやって戦っていった勇気ある市井の人達は偽善の言葉に刻まれた墓に埋葬されていく。人間ジャミラを苦悩しながら退治するウルトラマン。その「矛盾した構図」にこそ人間の叡智があるのではないかと思える。(終)

 正義とは何か?悩みながらもお仕事をこなす律儀なウルトラマン。弁護士もそうありたいものです。他の人から「言葉だけは立派だ」と陰口をたたかれないように。

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