久留米版徒然草 Vol.65

親族法の判例2題

判例勉強会で印象に残った事案は2つ。いずれも親族法。
1 婚姻意思ないし意思能力が問題となった東京高裁令和3年4月27日(判時2567・5)。原告のタマの悪さ(カネ目当てと推測される)が請求棄却の要因のひとつと感じられる。認知機能検査(長谷川式等)結果は微妙だ。自署もできない状態なので脳の画像診断結果如何では(特に言語中枢部位に損傷や萎縮が認められたら)結論が変わった可能性もある。
2 婚姻届出後に全く同居をしたことが無い夫婦間において婚姻費用分担義務があるか争われた東京高裁令和4年10月13日(判タ1512・101)。原審は消極に解していたが当然ながら取り消された。婚姻費用支払義務は同居していなくとも破綻していても否定されないとする普通の判断だ。実務家的には消極説を展開する原審判示が読んでいて面白い。

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