5者のコラム 「易者」Vol.16

独立とは誰にも依存しないことでは無い

 ひろさちや「仏教の常識」(講談社)は縁起の意味をこうまとめます。

「論理的な相互依存関係」きれいや汚いという評価は人間の主観に過ぎず対象そのものの属性ではない。両者の言葉の関係に過ぎない。概念に対応する実体はない。「時間的な相互依存関係」 出来事には必ず原因がある。これを「因縁」という。因と縁のないものは存在しない。悪い結果があれば必ず悪い原因がある。「空間的な相互依存関係」全ての生き物は互いに助け合いながら生きている。単独で存立しうるものはない。同じ時間に生きる全ての生き物は依存しあっている。

土井健郎「甘えの構造」(弘文堂)はアメリカで「Anantomy of Dependence」と英訳されましたが売れませんでした。アメリカ人はDependenceという言葉が嫌いです(吉岡隆「共依存-自己喪失の病」中央法規)。彼らはIndependenceという言葉が好きなのです。アメリカの精神科医はCodependenceの概念をドメスティックバイオレンス被害者が「私がいないとこの人は救われない」などと思いこんで加害者から離れられなくなる現象を指して使うようですが、病的イメージで使用するのであれば、日本語としては別の訳語を考えて欲しいと思います。「共依存」という日本語に病的イメージはないからです。西田章氏は「弁護士の就職と転職」(商事法務)でこう述べます。「独立」というのは決して「誰にも依存しないこと」を意味するものではない。特定の誰かに依存しないことを意味するにとどまる。分散型の依存と言い換えても良い。結果的には「より多数の人」に依存しなければ生きていけない。単独事務所を運営する弁護士は自由ですがIndependenceではありません。相互依存関係(Codependence)の下で独立は成し遂げられます。