MedicalscoolとLawscool
里見清一「医者とはどういう職業か」(幻冬舎新書)の記述。
ご案内かもしれないが、アメリカでは医学部は全て「大学院」である。つまり工学だとか理数だとかの学部を卒業した者が、あらためて入るのがmedical schoolなのである。日本の法科大学院の医学部版、みたいなものと考えてもらえれば良いだろうか。それで、州によってはその前の「学部」は何でもOKのところがある。そういうところで、もともと文学部を出てから医学部に入った学生と工学部を出てからの学生を比べてみると、やはり「理系」出身者のほうが出来が良いだろうと思うのは素人の赤坂である。卒業後、研修医となってからの評価では「理系」出身と「文系」出身とではほとんど変わらないそうだ。唯一差があったのは精神科で、ただしこちらは「文系」出身の方が出来が良かった、ということである。
アメリカはmedical schoolも一般教養学部を出た者が入る高等教育機関と位置づけられています。「文系」「理系」の区別はなく文学部を出てからmedical schoolにいくことや工学部を出てからlaw schoolにいくことが日常的に行われています。「司法改革」を主導した方はこれを「理想」として日本に輸入することを夢見たのでしょう。が教育制度は全体として繋がっています。もし「文系」「理系」の垣根を取り払い「医科大学院」と「法科大学院」を、学部を出た者だけに開かれた特殊職業訓練機関にするというのであれば、大学に於ける「医学部」「法学部」の廃止を含めた抜本的な制度改革が必要となってきます。それを行わずにlaw school 制度を表面的に真似るだけならば有意の若者からそっぽを向かれるのは明白でしょう(現にそっぽを向かれつつあります)。
私は文学部を出てから医師になった人に憧れています。医学部を出てから法律家になった人を尊敬しています。でも、現在の日本の制度では、その道は極めて厳しいのです。