5者のコラム 「芸者」Vol.32

難局に対応する技術2

芸者31で紹介した「クレーム対応のプロが教える心を疲れさせない技術」(青春出版社)は難局に対処する技術を4点あげていました(41頁)。以下、各論的に敷衍します。
1 反応を鎮める
 依頼者は感情的になった姿で弁護士の前に現れます。過剰に怒り、あるいは過剰なる不安を抱えています。弁護士が最初に依頼者に対して勧めることは冷静に状況認識をすることです。それは本当に怒るべきことか?不安にならなければならないことか?的確な行動選択を行うためには瞬間的感情ではなく中長期的視野に立った冷静な状況認識が必要です。
2 原因たる出来事をなくす
 ストレスを無くすためには、その原因である出来事をなくすことが最善です。そのために弁護士は法的行動を行います。発生した過去の事実をなくすことは出来ませんが、訴訟など行動を伴う手続きをとることによってストレスが軽減される方は少なくありません。
3 感想を変える
  事実は変えられませんが評価を変えることは可能です。依頼者には事実の正確な認識に欠けている方もいます。ゆえに弁護士は依頼者に対し「何が事実で・何が評価なのか」を峻別し説明するよう求めます。評価は意識的に変えることができます。
4 周りの協力を得る
 孤独感で一杯の依頼者は少なくありません。弁護士は落ちこんだ依頼者が相談する相手としての存在意義を発揮する必要があります。弁護士も問題を抱えたときに相談相手がいないと辛いものです。孤独感に苛まれたときは赤信号を出して救助を求めることが肝要です。

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