地鎮祭の呪術的構造
地鎮祭は次の手順で行われるのが一般的。開式の辞(参列者が所定の座に着席し祭典を始める旨告げます)。修祓(神前で祓詞を奏上し大麻で祓い清めます)。降神(神籬に地の神様を招きます)。献饌(神前にお供え物をします)。祝詞奏上(工事の安全を願って祝詞を奏上します)。四方祓(敷地の四隅と中央を祓い清め供物をします)。地鎮の儀(中心となる儀式・施主と施工者が初めてその地に手をつける意味)。玉串奉奠(玉串を神に捧げます)。撤饌(お供え物を下げます)。昇神(お招きした地の神様にお帰りいただきます)。地鎮の儀では最初に鎌を持った施主が地に生えた草を刈り取り、人間が自然に踏み込む決意を示します。3回「エイ・エイ・エイ」と声を出し盛った土に植えられた草を刈り取る動作をします。次に設計者が3回「エイ・エイ・エイ」と声を出して土に鍬を入れます。最後に施工者が2人1組になり3回「エイ・エイ・エイ」と声を出して杭を打ち込み、人間が地の神の許しを得て建物をつくることを宣言します。その後、鎮物を地に埋めます。鎮物は土地の神を鎮めるために捧げるもので、基礎工事が終わって埋め戻しをする際に水回りの下にならない建物の中央か神棚の下に埋めることが多いようです。施主の中には地鎮祭の必要性を感じない人もいますが、施工をする工務店の多くは強く勧めます。建物建築工事は危険を伴うものであるため、万一事故が発生した場合に「地鎮祭をしなかったからだ」と非難されることを防止する意味合いがあるものと思われます。私は占い師の「事故に遭う可能性があります・でも心配する必要はありません・しっかり準備していれば避けることが出来ますから」という言明を紹介したことがあります(易者42)。地鎮祭はかかる呪術的構造(事故が起きなければ地鎮祭のおかげ・事故が起きれば地鎮祭をしなかった報い)にもとづいて長年執り行われてきたものなのでしょう。