供給過多なのに需要減少という業界
「ビジネスジャーナル」に次の記述があります(神樹兵輔)。
ところが90年代に入り次々と保険診療の幅が広げられたことで高額な自由診療による儲けは期待できなくなります。そのうえ厚生労働省は歯科医師が不足と見立て、歯科大学の新設定員増で、歯科医の数が毎年3000人単位で増えるまでの状況にしたのですから業界はたまりません。30年前は子供の9割に虫歯がありましたが今では歯磨き習慣と早期治療でどんどんよくなり半分以下に減っています。患者の人数そのものが減少傾向なのです。(略)厚労省はこうした事態に慌てて04年から歯科医師国家試験の難易度を上げてきましたが、もはや手遅れでした。82年と12年を比較すると医師免許保有者数と歯科医師免許保有者数はいずれも1・6倍程度に増えています。(略)厚労省の統計で12年の医師免許保有者数は約30万人、これに対して歯科医師数は約10万人です(日本医師会公表データでは現役稼働医師数は約17万人)。これでは、いくらなんでも多すぎです。歯科医師の場合は病院の診療科目になっているところが少ないため、大きな病院である程度勤めると、自らが診療所を開業するケースが7割近くに及びます。そのために全国に約6万8000の診療所となり、約5万3000店のコンビニの数より多くなってしまっているのです。
法律業界に吹き荒れた「司法改革」の嵐による需要の過大見積・法科大学院の新設消滅・合格者増と志願者減が目立ちます。平成6年に1万4809人だった日本の弁護士数は平成27年に3万6415人まで激増しています。供給過多なのに過払バブル崩壊後の事件減少が顕著です。神樹氏は上記記事で歯科業界は「年間1600件もの廃業が相次ぎ、うち2・3割は夜逃げや倒産だ」と記しています。そう遠くない将来において弁護士業界でも「年間**件もの廃業が相次ぎ、うち2・3割は夜逃げや倒産だ」との記述が行われる日が来るのでしょうか?嗚呼。