5者のコラム 「学者」Vol.130

ファラデーとマクスウェル

中学2年生の時にアマチュア無線技士の国家試験を受けて合格しました。試験勉強の中で電磁気学に於いては「マイケル・ファラデー」と「ジェームズ・マクスウェル」という偉大な学者が存在し、各々が人類史に残る業績を上げていたことを学びました。マイケル・ファラデーは貧しい鍛冶職人の家に生まれ、満足な学校教育を受けることなく13歳でロンドンの製本屋に奉公に出されます。が幸運な偶然から王立研究所教授ディヴィーの助手に採用されたのを契機に科学者としての道を歩みました。数学を修得する機会に恵まれなかった彼はその代わりに職人的な実験センスに恵まれ、当時未開拓だった電磁気学の分野に金字塔的な業績を残しました(ファラデーの法則として名を残す)。他方、ジェームズ・マクスウェルは大地主の家に生まれ、ケンブリッジを優秀な成績で卒業し10代前半で数学の論文を発表した大秀才でした。数学的な才能を天文学や熱力学などに生かす他、ファラデーが開拓した実験的事実を数学の言葉により表現し、電磁気学をニュートン力学と並ぶ理論体系に纏め上げました(マクスウェルの方程式として名を残す)。この偉大な2つの才能が存在しなければ電磁気学が現在の興隆をみることは無かったでしょう。(小山慶太「光と電磁気・ファラデーとマクスウェルが考えたこと」講談社ブルーバックスを参照)
 私は絶対にマクスウェルみたいにはなれない。私は田舎の職人の息子です。理論的な考察を行うにはあまりにも基礎的な資質に欠けています。大学生のときに勘違いをして学問を志したことがありましたが、自分にその才がないことはこの齢になり更に実感しています。ただ私はファラデーのように幸運な偶然から法曹実務家として生きることを許されました。仕事の中で社会に起きる個々具体的な事実を細やかに考察する機会に恵まれています。今後も具体的事実を大事にしながら職人的な気質で1つ1つの仕事に取り組んでいきたいと思っています。

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