久留米版徒然草 Vol.296

ヒマと退屈に関する哲人の考察

ヒマ人であることにはかつて高い価値が認められていた(ヴェブレン)。退屈相手の戦いとは何か?それは時間をやり過ごすこと。時間がより早く過ぎるように仕向けること。時間の「のろさ」に耐えられないから(ハイデガー)。生涯を通じ退屈に苦しみ毎日が長くなった人間が、人生の最後になって自分の人生の短さを嘆くという現象をどう理解すればよいのであろうか(カント)。
 近時、國分功一郎「暇と退屈の倫理学」 (新潮文庫)が哲学書として異例なほどの売れ行きを見せているらしい。そう、現代社会において最も考察に値する哲学的テーマは「ヒマと退屈」なのだ。

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