久留米版徒然草 Vol.272

暇と退屈について

鴻上尚史「人生にがっかりしないための16の物語」(ちくま文庫)chapter11「ガーブの世界」に次の趣旨の記述があります(若干省略)。特に高齢者の方に重要な記述。

この世の中からテレビと映画と小説と演劇とスマホがなくなったら、あなたはどうするでしょうか?あなたは退屈を紛らわし退屈から遠ざかるために”物語”を作り・話し・聞くのです。物語の究極の意味は「自分の死」を意味づけることです。それが「物語」のもっとも抽象的で高級な仕事であるとすれば、もっとも現実的で下世話な仕事は「あなたの退屈を忘れさせてくれること」なのです。これからの時代は「自分の退屈とどう向き合い、どう撃退するか?」がますます重要になるんじゃないかと思います。どんな物語にはまって「自分が無意味であることを忘れるか」ということが課題となるのです。

國分功一郎「暇と退屈の倫理学」(新潮文庫)が文庫本の哲学書として異常な売れ行きを示している如く、現代倫理学において「暇と退屈」こそが一番重要なテーマだろうと私は思います。何故ならそういうことを考えているときは暇でも退屈でもないからです。哲学の効用ですね(笑)。

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