久留米版徒然草 Vol.273

財産税と戦時補償特別税

河村小百合・藤井亮二「持続不可能な財政」講談社現代新書。細かい点は経済学や財政学の本も参照したいのだが「財産税」や「戦時補償特別税」にも言及があると私は少し背筋が伸びますね。

ひとたび財政運営が行き詰まった際の財政資金ショート(不足)の額はその国が毎年度どれだけの金額の国債を発行しているかで決まります。借換債の発行も多い我が国の場合、2025年度当初予算の国債発行額は172兆円という極めて大きいのが現実です。これは国の一般会計の税収の約2・2年分に相当します。所得税・法人税・消費税というフローベースでの経済活動に課税する基幹3税の税率引き上げではこの規模の財政資金ショートは到底埋められません。そうなれば大規模な資産課税に踏み切らざるを得ない可能性が大きくなります。第2次世界大戦の敗戦後、我が国が焼け野原のなかで国民のありとあらゆる金融資産や不動産に課税した”財産税”や戦時中までに政府が家計や企業に対して支払うと約束した分の金額を反対方向に政府が課税する形で全額踏み倒した”戦時補償特別税”の再来となる可能性も否定できません。

参議院選挙時の「減税か?現金給付か?」という宣伝合戦はいったい何だったのか?

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