久留米版徒然草 Vol.269

自己意識の強い漱石

漱石はこう書いてますけど歳を取ってくると自然に自己意識が小さくなってきますね。

昔の人は「己れを忘れろ」と教えたものだ。今の人は「己を忘れるな」と教えるからまるで違う。二六時中己れという意識を持って充満している。それだから二六時中太平の時はない。いつでも焦熱地獄だ。天下に何が薬だといって、己を忘れるより楽なことはない。
(夏目漱石「吾輩は猫である」岩波文庫483頁)

年齢を重ねてボケてくるのは近づいてくる「死の恐怖」を感じなくて済むようにする神様の配慮。そう考えると楽で良いものです。そのうち自分の名前も忘れてきたりして。

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