神と悪魔の弁証論
NHK「100分で名著」ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」。光文社古典新訳文庫にて斬新な訳文を展開されている亀山郁夫先生が御担当。本作品は人類が生み出した長編小説の最高峰である。大学生のとき2日かけて読んだが、読む前後で「人間や社会に対する見方」が明確に変化しているのを感じた。テレビは観ないけど解説はじっくり読みます。(以下、FB友との議論)
1「世の中には二種類の人間がいる。『カラマーゾフの兄弟』を読破したことのある人と読破したことのない人だ」(村上春樹)「およそ続編というようなものがまったく考えられぬほど完璧な作品」(小林秀雄)「最低でも50回は精読した」(ウィトゲンシュタイン)。
2 私は「罪と罰」と「カラマーゾフの兄弟」を2回ほど読みました。ドフトエフスキーの描く人物は途中で作者自身がコントロールできなくなり自由に語り出してる感じがして面白い。
3 この手の本は若い頃(読むエネルギーがある頃)に馴染んでいないと。歳とって読むのはかなり厳しい気がしますね。私も今は無理かな(解説はなんぼでも読めるのに)。
4 大学生〜司法試験受験生の頃に米川正夫訳で読みました。「どうしてこんな男が生きてるんだ!」という長男の父を評した名言は、仕事をするようになってどんな驚くべき言動の人が目の前に現れたとしても、ドストエフスキーが既に書いたことがあるのだからと思い直して、冷静に対応する意欲を持てるようになりました。小説の素晴らしい効能だと思っています。
5 ドストエフスキーはキリスト教の弁証論(神と悪魔を対峙させて最後に神が勝つ図式)に従って小説の骨格を形成していると思うのですが、彼の小説が「現代においても」評価されるのは小説中で悪魔的に表現される人物のほうが神的な人物よりも魅力的だからだと思います。私が想像するところでは著者ドストエフスキー自身に「悪魔的な部分」があり自己投影をする際にコントロールできなくなってしまうんでしょうね。間違いなく人類史に残る小説家ですね。
6 割と「悪魔」が勝ってる気がします…イワンとか。
7 そこが凄いんですよね。単なる「勧善懲悪」ではないから。
8 キリスト教の文化的背景を持った人が初めてドフトエフスキーを読むと鼻血が吹き出すくらいの衝撃なのでしょうねぇ、きっと。
9 挿話「大審問官」とか、きっと信じられないくらいの衝撃だと思いますよ。