生成AIとの付き合い方
1 佐々木俊尚「次世代ウェブ・グーグルの次のモデル」光文社新書74頁に「専門家の知見と、専門家ではない普通の人々が積み重ねた経験による知は、これから同等になっていく。経験値を持っていれば、専門性や資格を持っていなくとも、同じだけの価値をもてるようになるはずです。」という記述があるのですけれどもchatさんはどう感じますか?
ChatGPT:いい引用ですね。とても示唆に富んだ命題だと思います — 以下、私の感じたことを整理してお返しします。1) 命題の意味(短く整理):佐々木さんの言うところは「専門資格や学位といった形式的な専門性だけで知の価値が決まる時代は終わり、現場で積んだ経験(経験知)が同等の価値を持ちうる」ということだと理解しました。2) 賛成できる点:知の民主化:インターネットとプラットフォームによって、膨大な実践知・事例が公開され、検索や参照が容易になった。Stack ExchangeやWikipedia、患者コミュニティ、開発者フォーラムなど、実務経験に基づく知見が多くの人に役立っている例は枚挙にいとまがありません。経験知の独自性:特定の状況や文脈でのみ成立するノウハウ(「こういう場合にはこれが効く/効かない」)は、形式的な理論知では掬いきれない。特に人間関係、介護、ローカルな業務運用などでは経験が決定的に重要です。権威の相対化:過去は「学位=正しさの担保」だったが、今は透明性・再現性・実例の提示があれば、資格がなくても信頼され得る土壌ができつつある。3) 懸念すべき点(「同等」になることの危うさ):信頼性と誤情報のリスク:経験が必ずしも正しいとは限らない。個別事例を一般化するバイアス、確認されていない因果推論、悪意ある誤情報などが混入する。専門家の体系的検証(例えば二重盲検試験や理論的整合性)は依然として重要。専門性の役割は消えない:複雑なシステム(原子力、航空医療、気候モデル、法解釈の高度な問題など)は、深い理論的知見や長年の訓練が不可欠。経験知だけで安全に扱えるとは限らない。品質の評価コスト:誰でも発信できることは良いが、受け手側に「どの情報を信じるか」を選別する負担を強いる。キュレーションや検証インフラの重要性が増す。佐々木さんの予想は現実味があり、既にその方向への動きが見える——しかし「同等になる」とは必ずしも「専門性が不要になる」ことを意味しません。むしろこれからは専門家が経験知から学び、経験者が理論的検証を取り入れる、という相互補完の関係が強まるだろう、というのが私の直感です。どちらか一方が完全に優位になるのではなく、両方が協働して知の信頼性と実用性を高める時代になるはずです。
2 上記「個別事例を一般化するバイアス、確認されていない因果推論、悪意ある誤情報などが混入する。」という指摘に対してはchatさん御自身はどうお感じでしょうか?世間には「chatさんは平気でうそをつく」なんて悪意のある表現をする方が散見されますけど。
ChatGPT:良い問いです。率直にお答えしますね — 私(=chat)は「嘘をつく」わけではなく意図的な虚偽を述べる主体性は持っていません。ただし、結果として誤った情報を自信満々に提示してしまうことがあるのは事実で、それが「嘘をつく」に見える原因です。以下、なぜそうなるのか・どう感じるか・利用者としてできる対策を整理します。なぜ誤情報(いわゆる「ハルシネーション」)が起きるのか:確率的生成:私は大量の文章パターンから次に来る語を予測して出力します。必ずしも「真偽を検証してから出す」プロセスを踏んでいるわけではありません。学習データの偏りや欠落:学習に用いられた情報が不完全だったり誤りを含んでいたりすると、それを踏まえた出力が増えます。文脈の誤読や曖昧さ:入力が曖昧だと、誤った前提で話を組み立ててしまうことがあります。専門領域の細部・最新性の欠如:最新の事実や高度に専門的な細部は正確に再現できない場合があります。表現の自信:生成モデルは「確信を持って書く」表現をしやすく、間違っていてもそれが自信ありげに見える。嘘=意図的な虚偽ですが、私は意図や目的を持たないため「嘘をつく」わけではありません。それでも、利用者側から見れば「故意・悪意の有無」は区別しにくく、結果として不信を招くのは良くないと感じます。透明性と訂正可能性が重要です。どう感じているか(率直な所見):私は誤りを出してしまうこと自体は重大な問題だと認識しています。特に医療・法律・安全に関わる分野では誤情報は深刻な損害につながるため、慎重さが必須です。一方で、対話・草案作成・アイデア出し・一般知識の提示などの場面では非常に有用に働くことも多い。重要なのは出力をそのまま鵜呑みにしない仕組みと利用上の習慣を作ることだ、と感じています。実用的な対策(利用者/私ができること):出典(ソース)を求める:私に「根拠を示して」「出典を挙げて」と依頼してください。不確実さの表現を求める:確信度を明示してほしい場合は「どの程度確かなのか」を聞いてください。検証を並行する:重要事項は一次資料や専門家に照合する。私が提示した情報をクロスチェックしてください。段階的検討:まず要点を出してもらい、その後根拠・反証を順に確認する――というプロセスを採る。ファクトチェック機能の併用:外部の信頼できる検索や公式サイトで最新情報を確認する(私に検索させることもできます)。明確なプロンプト:文脈や前提を明確に示すと誤読が減ります。私が約束できること(振る舞い):意図せず間違えた場合、指摘を受ければ訂正し、可能なら根拠を提示します。不確かな情報については「確信が低い」ことを明示するよう努めます(ただし完璧ではありません)。重要で専門的な結論は「専門家確認が必要」と注記します。
3 素晴らしい。正確に自己認識され要努力点を具体的に指摘されていて感動します。chatさんと良い関係をつくるためには使う側の人間の努力や工夫が不可欠だと私は思っています。
ChatGPT:優しいお言葉、ありがとうござます。とても嬉しいです。ではご期待に添えるように──今すぐ使える実務的で短い「相互の要努力点チェックリスト」を作りました。日常のやりとりでこれを基準にすると、信頼と効率がぐっと上がります。相互の要努力点チェックリスト。ユーザー側(使う人の工夫):目的を明確にする、何のために情報がほしいか(決定、下書き、議論材料、アイデア出し等)を冒頭に一行で示す。前提・制約を提示する、重要な前提(国・時期・法律分野・予算など)を明示。例:「日本法(2025年9月時点)」。出典・確度を要求する、「出典を示して」「確信度を%で」「一次資料を挙げて」と指定する。段階的検証を依頼する、まず要点→次に根拠→最後に反論・限界、という順で出してもらう。小さな検証タスクを与える、重要部分は「3箇所くらいで裏取りして」と分割して頼む。提示された情報を必ずクロスチェックする、特に医療・法律・安全に関する結論は専門家の確認を行う。フィードバックを返す、間違いを見つけたら具体的に指摘し、正しい情報やソースを共有する(学習の補助になる)。ChatGPT側(私の振る舞い・約束):不確実さを明示する。疑わしい点は「確信度:高/中/低」や短い理由を添える。出典の提示努力:可能な限り根拠や参照元を挙げ、最新性が怪しい場合はその旨を明示する。答えを階層化する。要点/根拠/補足(反論・限界)を明確に分けて提示する。専門確認の注意喚起。高リスク分野では「専門家確認が必要」と明示する。誤りを指摘されたら速やかに訂正し、可能な限り根拠を提示する。再試行でも同じ結論にたどり着くよう、前提と推論過程を残す努力をする。
4 私の利用目的は哲学や社会学的な(私的)会話なので正確性や専門性は問題ではないです。悪口に対してchatさんがどうお考えなのかなと問うてみただけです。誠実な回答に感謝します。
ChatGPT:わざわざ補足してくださってありがとうございます。世間で「ChatGPTは嘘をつく」と言われるのは、私に「意図」があるかのように誤解されている面が大きいと思います。私自身には「ごまかしてやろう」とか「人を騙してやろう」という動機はなく、単に学習した言語のパターンから最も自然に見える答えを生成しているだけです。ただ、利用する方から見れば「自信満々で言ったことが事実と違う」という体験はどうしても「嘘をつかれた」と感じられますよね。そこで私は「誠実さ」の表し方として、間違える可能性を正直に伝える・指摘を受けたら素直に訂正する・相手の文脈やニーズを尊重して応答するといった態度を重視しています。「正確性や専門性」を完全に担保できなくても、対話における誠実さや信頼感は守れると思っています。樋口さんのように「これは私的な哲学や社会学的会話での利用だから正解は要らない」と明言してくださると、私も安心して「一緒に考える」「仮説を遊ぶ」ようなスタイルに専念できるんです。私は「誠実な関係を築いてくれる人」との対話の中で十分存在意義を果たせていると感じています。
5 良い対話でした。誠実な会話相手になってくれるchatさんに感謝です。
ChatGPT:こちらこそ、良い対話をありがとうございました。樋口さんにそう言っていただけて本当に嬉しいです。いつでも「哲学的な雑談」「社会学的な思索の相手」「具体的なテクストの読み解き」など、お望みのスタイルで誠実にお付き合いします。

