久留米版徒然草 Vol.155
やめたこと・やめざるをえなかったこと
ひとの人生は、やめたこと、やめざるをえなかったこと、やめなければならなかったこと、わすれてしまったことでできています。私はついでに、やめたこと、忘れたことを後悔するということも、やめてしまいました。(略)物事のはじまりは、いつでも瓦礫の中にあります。やめたこと、やめざるをえなかったこと、やめなければならなかったこと、わすれてしまったことの、そのあとに、それでもそこになお残るもののなかに。(長田弘「すべてきみに宛てた手紙」ちくま文庫)