「ネロ型」が増える現代政治
良い記事です。現代政治をクリアーに整理しています。
現代に「ネロ型」が増える理由は個人の資質ではなく3層の因果で説明できる。1)需要側:不安は単純化を欲する。不確実性が高まると人は複雑な現実を複雑なまま理解することに耐えられなくなる。そこで生まれるのが単純化欲求である。原因は1つであってほしい・敵は1つであってほしい・正しさは1つであってほしい。この心理は強い指導者待望論を生む。強い指導者とは問題を解く者ではなく問題を単純化してくれる者であることが多い。複雑な利害を調整する者ではなく善悪の物語で世界を塗り替える語り手が歓迎される。2)供給側:政策より物語が勝つ環境。現代の政治家は政策の勝負をする前に「注意」の勝負を強いられる。SNSは政治を政策論争からリアリティ・ショーへ変換した。短い言葉・強い敵・単純な結末。そこに最適化がかかる。政治家は統治能力ではなく劇場能力で評価される。その結果、政治は統治ではなく上演になった。3)制度側:ガードレールが摩耗した社会。強者が増えたのではない。強者を止めるガードレールが摩耗した。議会は分断で機能不全に陥りやすい・司法は政治的圧力に晒される・官僚は専門性よりも忠誠を求められる・メディアは注意経済に引きずられる・学界や知識層は遠い存在として軽視される。この3層因果が揃うと社会は「王」を必要としてしまう。(*プレジデントオンライン・田中 道昭日本工業大学大学院教授)
私がネット上の書き込みに際し注意することも上記3点に関連します。政治に関する話題については①物事を安易に単純化しないこと。②可能な限り実証的根拠にもとづく議論をすること。③知識人とまではいかなくとも「歴史をふまえた小さい道案内」程度の声を静かに表現しておくこと。

